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大阪地方裁判所 平成5年(わ)2267号 判決

本店所在地

大阪府門真市大字三ツ島一八六番地

株式会社

不二鉄工所

右代表者代表取締役

藤原亘晃

本籍

兵庫県城崎郡香住町鎧三四四番地

住居

大阪府枚方市山之上五丁目三九番六号

会社役員

藤原亘晃

昭和一二年一月三日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中井隆司出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社不二鉄工所を罰金二三〇〇万円に、被告人藤原亘晃を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人藤原亘晃に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社不二鉄工所(以下「被告会社」という。)は大阪府門真市大字三ツ島六三七番地の四(平成四年九月一〇日、本店を同市大字三ツ島一八六番地に移転。)に本店を置き、建築機械の部品及び金型の製造及び販売業務等を営むもの、被告人藤原亘晃(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役として、業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一  平成元年五月一日から平成二年四月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が一億二五八四万六一四一円で、これに対する法人税額が四九〇九万八〇〇円であるのに架空の外注費を計上するなどの行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成二年六月二七日、大阪府門真市殿島町八番一二号所在の所轄門真税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四五六九万七三五円でこれに対する法人税額が一七〇二万八四〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税三二〇六万二四〇〇円を免れ(別紙1の1の修正損益計算書及び別紙2の税額計算書参照)

第二  平成二年五月一日から平成三年四月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が一億七五九八万四六一〇円で、これに対する法人税額が六四九二万四七〇〇円であるのに、前同様の行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成三年六月二四日、前記門真税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が五五七三万八一五九円でこれに対する法人税額が一九八三万二四〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税四五〇九万二三〇〇円を免れ(別紙1の2の修正損益計算書及び別紙2の税額計算書参照)

第三  平成三年五月一日から平成四年四月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が一億三〇二四万六九五五円で、これに対する法人税額が四七五四万三九〇〇円であるのに、前同様の行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成四年六月三〇日、前記門真税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が六〇九二万三三五〇円でこれに対する法人税額が二一五四万七七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税二五九九万六二〇〇円を免れ(別紙1の3の修正損益計算書及び別紙2の税額計算書)

たもである。

(証拠の標目)〈注〉括弧内の算用数字は記録中の証拠等関係カード(検査官請求分)記載の当該番号の証拠を示す。

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書二通

一  杉村英輔の検察官に対する供述調書

一  藤原和子(二通)、三木保典(三通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  大蔵事務官作成の証明書(7)

一  収税官吏作成の査察官調査書一二通(9、10、12ないし15、19、21ないし25)

一  登記官作成の法人登記簿謄本

一  登記官作成の閉鎖役員欄用紙謄本

判示第一及び第三の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書(17)

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(1)

一  大蔵事務官作成の証明書(4)

一  収税官吏作成の査察官調査書(11、18、20)

判示第二及び第三の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書(16)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(2)

一  大蔵事務官作成の証明書(5)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(3)

一  大蔵事務官作成の証明書(6)

一  収税官吏作成の査察官調査書(17)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、判示各所為につき、法人税法一六四条一項により同法一五九条一項所定の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用して、罰金額をその免れた法人税の額以下とし、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四八条二項により各罪の罰金額を合算し、その金額の範囲内で被告会社を罰金二三〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松下潔)

別紙1の1

修正損益計算書

〈省略〉

別紙1の2

修正損益計算書

〈省略〉

別紙1の3

修正損益計算書

〈省略〉

税額計算書

〈省略〉

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